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【コラム】~医療関連企業の皆さん、反社会的勢力との関係遮断は大丈夫ですか?(後編)~

2019.08.04

前回は、最近、話題となっている企業と反社会的勢力との関係遮断について、反社会的勢力の範囲と反社会的勢力との関係遮断が必要な理由を考えてみました。
今回は、反社会的勢力との関係を持つことの不利益や反社会的勢力との関係遮断の対策に関する基本的な事項を考えてみたいと思います。医療関連企業の皆さんに少しでも、反社会的勢力との関係について考えるきっかけになっていただけたらと思います。

【反社会的勢力との関係とは?】
反社会的勢力を利用することが許されないことです。
その他、反社会的勢力の幹部が主催する会合に場所を提供すること、フロント企業に業務を委託することなど、反社会的勢力の運営に資するような利益供与、活動を助長するような利益供与等と認められる行為は、広く取り締まられることになることを意識することが必要です。

【反社会的勢力と関係を持つとなにか不利益があるの?】
反社会的勢力との関係を遮断することが必要だということはよく耳にしますが、実際に、反社会的勢力と関係を持った場合にどのような不利益があるのか、ということについてまで理解している人は少ないかもしれませんね。そこで、この点を少し考えてみたいと思います。
1.反社会的勢力と関係を持った場合に関する規律は、各都道府県が条例を制定しています。そのため、一律にこういう不利益処分等がありますとはいえませんが、各条例により異なりますが、反社会的勢力との関係を持つことで、指導、勧告、公表、刑事罰を受けることがあります。
2.知らず知らずのうちに(不注意で)、犯罪に加担してしまっていた場合、刑事罰の対象になることもあり得ます。
3.企業価値を損なう不利益が生じます。すなわち、
(1)反社会的勢力との関係を持っていることが判明した場合、取引先から、契約を解除されることがあり得ます。
(2)また、取引先に損害が生じた場合、取引先から会社に対して損害賠償を請求されることがあり得ます。
(3)メディア等に反社会的勢力との関係が取り上げられることで、企業に対する取引先、顧客、社会からの信頼が失墜し、会社の存続が危ぶまれることになります。
その他にも、個々の事実関係に応じて、様々な不利益が企業や個人に生じることが想定されます。

【反社会的勢力との関係遮断対策とは?】
現在、暴力団の不透明化や資金獲得活動の巧妙化により、一見して、相手が反社会的勢力とは判別できないことが多くなっていることは事実です。例えば、暴力団関係企業(フロント企業)は、一見して、一般の企業との区別が困難な場合が多いです。そのため、企業としても、できる範囲での対策をすることが必要となります。
1.取引先との契約書や取引約款には、必ず、反社会的勢力を排除することを約する条項を入れることで、契約の相手方に契約にあたって反社会的勢力ではないことを表明させて、後に反社会的勢力であることが判明した場合には、直ぐに契約を解除し関係遮断できるように対策することが必要です。
2.反社会的勢力との関係遮断について、社内規則等に明文化し、社内での対応システムを構築しておくことも有益ですね。この点、一般社団法人日本経済団体連合会の企業行動憲章は参考になります。
3.取引先が反社会的勢力か否かを事前に調査することも必要です。その方法の一例を紹介しますので、参考にしてみて下さい。
・インターネット、新聞記事等のメディア媒体の検索
・自社でのデータベースの構築、利用
・不動産登記簿や商業登記簿の検索
・取引先が、銀行取引ができるか、不動産を借りることができるか、各種許認可を得ているか等の取引状況調査
・警察への照会
・都道府県が設置する暴力追放運動推進センターへの問い合わせ
・調査会社の利用
・各種業界団体への問い合わせ
3.現在、社会的に反社会的勢力を排除することへの取り組みが要請されており、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(法務省)、「暴力団対策」(警視庁)など、反社会的勢力との関係遮断について、インターネット上で言及されていますので、参考にすると良いと思います。

以上、2回にわたり、簡単ではありましたが、医療関連企業の皆さんに向けて、反社会的勢力との関係について、基本的な事項を考えてみました。
企業は、役員、従業員の皆さん一人ひとりの意識、行動によって、大きく変わりますので、皆さんの考えるきっかけになれば良いかと思います。

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